2017年3月 関西本部:京阪本線&JR京都線 非協力乗車会

当会関西本部では2017年3月1日に、京阪本線とJR京都線(東海道線)で非協力乗車会を行いました。

以下、当日の報告です。


声掛けが意外としつこい京阪

「女性専用車」看板を持ったアルバイト(?)駅員がホームに

今回、京阪で乗車会を行うことにした理由

今回は京阪淀屋橋駅に朝7:25集合。

平日の朝早い時間だったが、それでも今回、4人のメンバーが集合場所にやってきた。

京阪淀屋橋駅の駅標
駅ホームの風景
列車が到着するたびに、たくさんの人が降りてくる。

京阪電鉄の女性専用車両は、平日朝ラッシュ時、上下線(両方向)の特急で運行されている。

これまで、京阪は関西の他の鉄道事業者に比べ、女性専用車の運行時間帯が少ないことなどから、当会ではあまり乗車活動を行ってこなかった。

平日の朝は参加者が集まりにくいというのもあるが、やはり関西ではJR西日本や阪急電鉄のトンデモなさがあまりにも際立っているため、どうしてもそちらでの活動が主になってきたのだ。

しかし、今回なぜ京阪で乗車会をすることになったかと言うと、ご存知の方も多いとは思うが、京阪は現在、特急用車両として使用している8000系(8両編成)に「プレミアムカー」と称する座席指定車両を設置するため、この2月25日のダイヤ改定から、8両編成のうち1両を、改造工事のため引き抜いて、7両編成で運行することになったにもかかわらず、女性専用車両は継続して運行されることになったからだ。

8000系7両化と、女性専用車両の継続を知らせる案内
(淀屋橋駅で)

つまり、もともと混み合う朝ラッシュ時に、8両のうち1両を女性専用車両として、他の車両との混雑差を生じさせている。

その上にさらに1両減車して、非女性専用車両を実質6両にするわけだから、非女性専用車両を利用する男性客にとって、朝のラッシュがさらにひどいものになることは言うまでもない。

しかも、プレミアムカーが実際に運用されるようになって、8000系が8両編成に戻ったとしても、プレミアムカーは座席指定制の車両だから、これまでの一般車両と異なり、車両が人で一杯になるまで乗客が乗るというものでもなく、結局、その分のしわ寄せが、非女性専用車両の混雑悪化という形で返ってくる。

当会ではこれまで京阪電鉄に対し、何度か抗議のメールを送るなどしてきたが、いずれもテンプレートと思われるような回答しか返ってこなかったので、これは実際に乗車会を行うしかないということになったものである。

京阪8000系(出町柳行特急・淀屋橋駅で)

京阪本線 淀屋橋~出町柳

私達は淀屋橋駅ホームの、女性専用車乗車位置に4人で並んだ。

周囲に女性客が何人かいたが、並んでいる私達に特に声はかけてこなかった。

また乗務員と思われる職員が時々、私達の近くを歩いて通り過ぎていったものの何も言って来なかったので、京阪も基本的に声はかけない主義なのかと思っていたのだが、これはこの後、実はそうではないことが判明する。

しばらくして、8000系列車が出町柳行特急としてホームに入線。駅構内に、「間もなく3番線に特急出町柳行が7両で到着します。

この電車の一番前の車両は女性専用車両です」というアナウンスが流れた。

列車はここで折り返しとなるため、到着後しばらく、「車内整備」を行う。

しばらくして列車のドアが開き、私達はクロスシート(特急列車などによくある、向かい合わせで座る座席)に4人で座った。

しばらくして、車掌と思われる人物が、「こちら女性専用車両となっていますので・・・」と声をかけてきたが、「協力できません」と返すとすぐに引き下がっていった。

しかしこの車掌、私達からはすぐに引き下がっていったが、車内にいた他の男性客に声をかけ、移動させてしまった。

すでにご存知の方も多いと思うが、「女性専用車両」と銘打っていても、実際は任意協力であり、男性の乗車を禁止するものではない。

あくまでも協力する・しないは男性客の意思に委ねられているからこそ、女性専用車両は、「公共交通機関における差別ではない」ということになっているのである。

しかし、実際には「女性専用」という、あたかも強制力があるかのような表示をし、さらに任意であることを知らせないまま、乗客に「こちらは女性専用となっております」と言って移動させるようなことがまかり通っている。

これはフェアではない。実質、乗客を騙しているも同然だからだ。

ところが、事はそれだけではなかった。しばらくすると今度は駅の助役と思われる人物が2人ほどやってきて、また「女性専用車両となっていますので・・・」ときたので、「さっきも断りました」・「しつこいぞ」とその場で抗議。

恐らくさっきの車掌が、「女性専用車両から降りない男性客がいる」などと駅に通報したのだろう。

結局この2人も引き下がったものの、京阪も思ったより声掛けが結構しつこいようだ。

やがて列車の発車時刻(7:41)になり、列車はゆっくりと淀屋橋駅を出発した。

女性専用車内は、まだ若干空席があるくらいの乗車率。

淀屋橋から2駅先の天満橋の先あたりまでは地下区間である。淀屋橋を出てすぐ、次の北浜駅に到着。

そこで若干乗客が増え、さらに天満橋でも乗車があった。

天満橋の先で地上に出る。

これまで真っ暗な地下を走ってきたが、車窓から、穏やかな温かい朝日が私達を照らした。

天満橋の先で地上に出る(車内から撮影)

しばらく朝の市街地を走り、列車は沿線の主要駅で、JR大阪環状線とも連絡する京橋駅に到着。

やはり主要駅というだけあって、ホームには列車を待つ人々の長い列が出来ていた。

しかし、女性専用車両乗車位置の列は明らかに他の場所と比べて短かった。

このあたりから女性専用車両とそれ以外の車両の混雑差が一段とはっきりしてきた。

ここで念のために申し上げておくが、当会は女性専用車両とそれ以外の車両の混雑差だけを問題にしているのではない。

一番の問題は、男性であるという本人の意思では如何ともしがたい、生まれ持った「属性」を理由に、公共の交通機関で男性客に不利益を与えていることである。

こういうと今度は、「痴漢対策」とか「弱者保護」とか言う人が出てくるが、弱者保護のためなら性別を理由に差別してもよいというのは誤りである。

いや、それ以前にそもそも「痴漢対策」や「弱者保護」などの理由自体が、「ただの建前」である。

混雑差も問題だが、これは女性専用車両を導入した結果後から生じた問題であり、専用車問題の本質ではない。

「女性専用車両導入後、痴漢件数が減っていない」 ということについても同様である。

仮に混雑差が解消し、痴漢件数が減ったとしても「女性専用車両はあっても問題ない」とはならない。属性による差別という「本質」が残ったままであるからだ。

また、女性専用車両に男性が乗車することを、「禁煙スペースで喫煙するのと同じ」 などと言う者がいるが、喫煙は属性ではなく「行為」であり、本人の意思で止めようと思えば止められるものである。

よって、本人の意思では如何ともしがたい、性別などの「属性」とは全くの別物だと言える。

女性専用車両と禁煙スペースを同列に扱うのは、ナンセンス中のナンセンスというものだ。

さて、列車は京橋駅を発車。特急は、ここから枚方市駅までノンストップで走る。

守口市・寝屋川市・香里園と過ぎ、列車は朝日の中を快調に飛ばしていた。

周囲の女性客も私達に何か言ってくるような気配はなく、私達も4人掛けのボックスシートにちょうど4人で向かい合って座っていたため、しばし雑談のひとときとなった。

やがて車窓に遊園地、「ひらかたパーク」を見ながら、列車が速度を落とし、次の停車駅の枚方市のホ―ムに滑り込んだ。

枚方市の駅でも多数の乗客が列車を待っていたが、一定の間隔で、駅員も多数ホーム上に立っていた。

そして、一番先頭に当たる女性専用車の位置には、通常の駅員のほか、アルバイトと思われる、看板を持った駅員も立っていた(写真)。

女性専用車両位置で立っていたアルバイトと思われる駅員(枚方市駅で)

「これは何かありそうだな」と思っていたら、案の定、駅員が乗車してきてまたまた、「ここは女性専用車両となっていますので・・・」と来た。淀屋橋での声掛け(×2)に続いて、私達にとっては3度目の声掛け。

もちろん、「協力しません」の一言でお帰りいただいたが、京阪もここまでしつこいとは、はっきり言って想定外であった。

また、京阪が看板を持った駅員をホームに立たせているのも、今回、実は初めて知った。

実はこの看板持ち駅員、ここ枚方市だけではなく、この先の特急停車駅にも立っていた。

京阪も女性専用車両には結構力を入れているようだ。

列車は枚方市を発車。次の停車駅樟葉(くずは)では特に何事もなかった。

樟葉を出てほどなく、大阪府から京都府に入る。

京都府に入って最初の停車駅、中書島では何事もなかったが、その次の停車駅である丹波橋で、看板を持った駅員が、女性専用車両に乗車しようとした男性を隣の車両に移動させていた。

見たのが車内からだったのと、少し離れていたので声は聞こえなかったが、手振りで「ここには乗るな」というような動作をしていた。

またまた問題である。先の淀屋橋と枚方市の声掛けの件も含め、「これは後で抗議しなければ・・・」とメンバー同士で話をし、結局、下車する予定の京阪三条駅で抗議を行うことにした(詳しくは後述)

列車は東福寺駅を通過。この先から終点の出町柳までは再び地下区間となる。

地下に入ってすぐ七条に停車。

そのあと清水五条を通過し、祇園四条・京阪三条と停車。神宮丸太町を通過して、終点の出町柳駅に8:42到着。

出町柳駅の駅標
ホーム

出町柳~京阪三条まで折り返し、京阪三条駅で抗議

出町柳駅で一旦改札を出て、各自トイレなどを済ませた後、私達は出町柳8:49発淀屋橋行き特急で折り返した。

間もなく女性専用車解除の時間になるが、この8:49発の特急はまだ女性専用車両対象列車である。

乗り込むと、既に男性客が複数着席していた。

「これは良い傾向だ」などと言いつつ、各自座席に座ったが、しばらくすると車掌が出てきて、またまた私達に声掛けをしてきた。

これで4回目である。

もちろん移動は拒否したが、この車掌、今度は近くにいた別の年配の男性客にも声をかけ、移動するように言った。

私達からは「ウソを言わないで下さい」(女性専用と表記していても、本当は男性であっても誰でも乗れる)と車掌に抗議。

すると横にいた中年の女性客が「ウソではありませんよ、女性専用って書いてあるし」などと、表記を鵜呑みにした無知発言をした。

さらに、「男性の声を聞くだけで嫌な女性客もいる」などと、かなりの問題発言も行った。

(「男性の声を聴くのも嫌」というような身勝手な理由で、特定の車両から男性を「男性である」というだけで排除することは出来ない。鉄道は公共交通機関である。)

そこはトラブルになると思ったのだろう、すかさず車掌が、「ご協力をお願いしているだけのものですので・・・」と間に割って入った。

しかしこの車掌も、ご協力をお願いしてるだけのもの(つまり任意)だということを知っていながら、それを知らせずに男性に移動を要請していたのだ。

本当はここでもっと強く抗議するべきところかもしれないが、この先すぐの京阪三条駅で降りることにしているので、ここまでとした。

京阪三条駅に降り立った私達は、すぐに駅の案内所に行き、これまでのことを話し、抗議を行った。

京阪三条駅案内所

具体的な内容は、

  • 女性専用車が任意であることを知らせずに、男性に移動を要請するのはフェアではない。
  • 実際には女性専用ではないので、「女性専用」という事実に反する名称はやめてほしい。
  • 私達が女性専用車に協力する意思がないことをはっきりと言っているのに、出町柳行きの車内で何度も声掛けしてきた(恐らく、男性が車内にいることを先の駅に連絡していたと思われる)
  • 女性専用車両が痴漢対策とはとても思えない。
  • 「小学生以下のお子様や障がい者・介護者は男性も乗れる」という案内だと、それ以外の男性は乗ってはいけないように勘違いする人が出てくる(実際には任意であり、男性であっても誰でも乗れる)。
  • ただでさえ女性専用車両で一般車両に混雑がしわ寄せされているのに、その上からプレミアムカーを設定するというのはどういうことなのか。一般車両を利用する男性客のことを考えているのか?

など。

さらに、私達が抗議に訪れたことやその内容について、きっちりと本社に伝えるよう、念押しに言って京阪三条駅を後にした。

JR京都線・京都~大阪

地下の京阪三条駅から地上に出て、ここからはJR京都駅前までバスで移動。

私達を乗せたバスは、穏やかに晴れた京都の街をのんびりと走り、やがてJR京都駅前に到着。

平日の昼間だったが、JR京都駅前は人でにぎわっていた。

やはり、国際的にも観光都市として有名な京都らしく、外国人観光客の姿も目立つ。

時刻は午前10時前。

これまで寒い日が続いていたが、今日は少し春めいてきた感じもする。

JR京都駅の駅ビル
向かいに建つ京都タワー

私達はJR京都駅の改札をくぐり、JR京都線(東海道線)10:18発の須磨行普通に乗車することにした。

京都駅ホームで女性専用車位置に並んだが、周囲の乗客は何も言って来ず。

やがて、ホームに列車が入ってきた。ここ京都始発だったので、当然車内は誰もいない状態で到着。

私達は車内に移動した。

京都駅停車中の車内。ガラガラである。
この後、清掃員がやって来て声をかけてきた。

平日の日中ということもあり車内はガラガラ。

発車までまだ、しばらく時間がある。

すると、車内に清掃のおじさんがやって来て、車内でほうきを使って軽く掃除をしていたが、一旦私達の前を通り過ぎた後、思い直したように戻ってきて、「ここ女性専用車なんですけど・・・」と言ってきたので、「知ってますけど、任意協力なので乗車させてもらってます」というと、「あ、はいわかりました・・・」と、軽く頭を下げてすぐに去って行った。

この対応から見て、おそらく清掃の係員や、警備員なども、JRから「女性専用車は任意協力」であることを知らされているのだろう。

JR西日本線では、当会でも度々乗車会を行っているが、普段、乗車活動をしていなかったら、この後、駅の助役がやってきたり、さらには発車後、行き先の駅でも駅員が乗り込んできたり・・・というような展開になるのだろう。

しかし、JR西日本ではこのところそうしたことはない。

今回も京都駅停車中に清掃員のおじさんに軽く声をかけられた以外、全く声掛けはなかった。

先ほどの京阪と比べても、はっきりと違いが分かる。

やはり、普段から乗車活動をしておくことは重要なのだ。

しばらくすると、私達以外にもぼつぼつと、4人ほど男性客が乗車してきて着席。

車内は20人余り程の乗客がいて、そのうち私達も含め8人が男性という状態で、京都駅を発車した。

京都駅から乗車した男性客も、一人が途中の向日町駅で降り、他の男性客も摂津富田駅で降りるまで、ずっと女性専用車に乗車していた。

任意協力とは本来そういうことであろう。

もっとも、JR西日本については、土休日も含めた毎日終日実施や、「女性専用」という、「事実に反する名称」などについて、今後もそれを改めるよう求めていく必要はある。

すると、メンバーの一人が、「優先座席に寝そべっている人がいる」と小さな声で言ってきた。

ふと見ると確かに、優先座席で横になって寝ている人(女性)がおり、近くの乗客の視線がそちらに注がれている。

まあ、体の具合が悪いのなら、それも仕方ないのかもしれないが・・・

列車は茨木駅に到着。茨木駅では工事が行われており、警備員がホームに立っていた。

工事の警備員かと思われたが、私達が女性専用車に乗車しているのを、ホームからジロジロと見ていた。

結局声はかけてこなかったが、何か言いたそうな感じだった。

茨木駅を出発。次の千里丘駅で先ほどの、優先座席に寝そべっていた女性客が下車。

体の具合が悪いのかと思っていたが、普通に起き上がり、歩いて下車して行ったので、どうやら体の具合が悪かったわけではなさそうだ。

だとしたら、一体何を考えて座席に寝そべっていたのだろうか。

列車はさらに岸辺・吹田・東淀川と過ぎ、新大阪に到着。

新大阪では女性専用車の目の前にエスカレーターが来る。

JR西日本ではこうした駅が多い。新大阪から男性客が1人乗車。

さらに、新大阪から数分走って、列車は大きな淀川を渡り、大阪駅に到着。

私達はここで下車した。

駅のホームで今回の乗車会を軽く振り返り、京阪については今後も引き続き乗車活動をする必要があることを確認して、私達はここで解散した。

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