2017年8月 関西本部:京阪本線 非協力乗車会と京阪・阪急・阪神本社訪問の報告④

4.阪神本社訪問

これまで抗議に行ったことのない、阪神電鉄の本社も訪問しました。


阪神本社を訪問

女性専用車両を拡大する気はないと答えたものの・・・

阪急本社から阪神本社に移動

阪急での抗議を終えた私達は、続いて野田にある阪神電鉄の本社に向かった。

阪神電鉄の本社は、阪神野田駅の駅前にある。

阪急本社から阪神の駅まで歩くと結構かかるのと、阪急本社のすぐ近くにバス停があり、バスが野田まで行くことから、私達はバスで阪神電鉄の本社に向かうことにした。

10分あまりバスに揺られ、野田阪神に到着。目の前が阪神電鉄の本社であった。

阪神電鉄本社

ここでは入り口に看板があり、対談は2人までに制限とのこと。

3人になっていた私達はどうしようかと、その場で話し合ったが、会員Rが今日はここで帰るということで、会員GとFが向かうことになった。

ここでも、受付で要件を伝え、担当者が来るまでしばらく待つことにした。

女性専用車両は効果がある? どういう意味で??

しばらく待って、出てきたのはなぜか、「助役」の名札をつけたT氏。

阪神は、本社に入ってすぐのロビーにおかれていたテーブルを囲んで私達2人とT助役が対談する形になったが、このT助役、一応私達の話は聞くものの、私達が女性専用車両反対派と言うだけで何か、内心馬鹿にしたような態度を終始取っていた。

まず、女性専用車両を今後どうするつもりなのか尋ねてみたが、現状以上に拡大する気はないとのこと。

それはそれで良いのだが、同時にT助役は、「女性専用車両を設定したことによって効果が上がっている」などとも言っていた。

しかし、T助役が女性専用車両導入前後の痴漢件数のデータを示さなかった(というより、データがその場にはなかったのだろう)ため、T助役の言う「効果があった」は、かなり疑わしいものであるといわざるを得ない。

また、その「効果」も「痴漢件数が減少した」ということなのか、それとも「女性が安心して利用できるようになった」などの他の意味なのか、判断がつかない。

阪神の場合、朝ラッシュ時に何本か運転される梅田行き区間特急のみの設定であり、それらの列車だけで全体の痴漢件数が大きく減るとは考えにくい。

阪急京都線(の特急)やJR西日本などのように、女性専用車両を終日やっているようなところでも痴漢件数を尋ねると「痴漢が減った・減らないではない」とか「公開するためにデータを取っているのではない」などと、苦し紛れの言い訳ともとれる回答をしてくる。

だから、阪神で痴漢の件数が大きく減っているとは考えにくいといえる。

また、「女性が安心して乗れるようになった」などは、具体的に数値として見えるものではなく、あくまでも「感覚」である。だからこれは個人の主観でどうにでもなってしまう。

よって、このようなものを女性専用車両の効果があった・なかったの尺度にすることは出来ない。

「女性専用車があるおかげで女性が安心できる」などと言えば、一見もっともらしく聞こえるが、実際には女性客の「もう女性専用車両には乗りたくない」という意見も実は少なくない。

これについてはこちらのページ内でも紹介しているので見てほしい。

もちろん、「もう女性専用車両には乗りたくない」も、これは各個人の「感覚」であるから、これをもって「女性専用車両が効果がない理由」にするつもりはないが、ここで言いたいのは「女性専用車両があると安心」というのが、絶対的なものではなく、単なる利用者各自の主観でしかないということである。

「女性専用車両で痴漢が減らないから」だけで反対ではない

これは女性専用車両反対派の中にも誤解している人がいるのだが、当会は、単に「女性専用車両で痴漢が減らないから」という理由だけで女性専用車両に反対しているのではない。

もし、単なる痴漢件数の増減だけで反対しているのであれば「女性専用車両で痴漢が減れば大賛成」になってしまう。

当会もよく、痴漢件数が減らないことを問題にしているし、確かに「これも問題」ではある。

しかし、これはあくまでも、「女性専用車両を設置した結果、後から生じた問題」であって、女性専用車両問題の本質ではない。

痴漢件数だけでなく、車両の混雑差や利便性(女性専用車両がちょうど階段の位置に来る 等)も同じで、それらが解決したからといって「女性専用車両は問題ない」ということにはならないのである。

そもそも、女性専用車両は男性に対する不当な差別であり、そこが解決しない限り、女性専用車両は問題ないとは言えないのである。

そういうと、
「女性専用車両は痴漢対策で設けられたのだから男性に対する不当な差別ではなく、女性を痴漢から守るための物」
「反対派は、女性専用車両がなぜ作られたか、作らざるを得なくなったか、その経緯を考えていない」

などという反論が来るが、そういうことを言う人は、女性専用車両が本当に痴漢対策のために設けられたものかどうか、よく調べなおすことである。

はっきり言っておくが鉄道事業者は痴漢被害者のことを思って女性専用車両を運行しているのでもなければ、痴漢対策を真剣に考えて女性専用車両を運行しているのでもない。

もちろん、本当に痴漢対策だったとしても、やり方に問題がありすぎであり、反対であることに変わりはないが。

未だに、女性専用車両が冤罪対策になると思っているT助役

また、T助役は「痴漢冤罪が問題になっているが、それなら逆に女性専用車両をもっと増やして、女性が近くに来なくなるほうが男性にとっても良いのではないですか」などとも言ってきたが、ピント外れも甚だしい。

女性専用車両が作られても、多くの路線で痴漢が減っていないか、逆に増えているのが現状である。

そして、痴漢がなくならないということは冤罪もなくならないということである。

実際、女性専用車両の設定されている列車で、冤罪事件が何件も起こっている。

女性専用車両が出来ても、痴漢犯は他の車両で痴漢行為をするわけだから、痴漢も冤罪もなくならないのも、ある意味当然といえる。

むしろ、女性専用車両の設定で他の車両が混雑しやすくなっている分、男性には冤罪のリスクがかえって増しているというのが実情であろう。

また、故意に痴漢をでっち上げて、示談金を狙うような輩などは最初から女性専用車両に乗るわけがない。

また、乗客がどの車両に乗ろうとそれは乗客の自由であるから、女性客に「女性専用車両に行け」とも言えない。

実際に、女性専用車両があっても自分の利用する駅の階段や改札などに一番近い車両を選ぶ女性客は非常に多い。

「女性専用車両が痴漢冤罪対策にならない」ということは、これまでからも当会が繰り返し言い続けてきたことである。

女性専用車両が冤罪対策になると思いこんでいる人は、事実を良く確かめもせず、イメージだけで物事を判断しているということである。

普段から活動を行っておく重要性を再認識して解散

結局、約30分ほど話し合ったが、どうやら今回の阪神電鉄の対応を見る限り、そもそも女性専用車両反対派の存在自体を問題視していないようにも思われた。

もっと分かりやすく、砕けた言い方をすれば「女性専用車両に反対とか言っているような奴など、どうせ低レベルな人間なんだから、まともに相手にする必要もない」と認識しているという事かもしれない。

T助役の対応もそうだが、そもそも今回、なぜ対応に出たのが担当者ではなく「助役」だったのか?

たまたま担当者が席を外していた可能性も否定は出来ないが、「やはり阪神電鉄側がこちらのことを軽く見て、担当者ではなく、クレーマーを軽くあしらうのを得意としている助役を持ってきたのではないか?」と見ることも出来る。

阪神電鉄は女性専用車両の実施列車や時間帯がごく限られており、そのこと自体はまだ土日・祝日も含め毎日終日実施している、どこかの他社に比べたらマシといえるのかもしれない。
しかしその反面、実施列車や時間帯がごく限られているがために、これまで阪神電鉄に対し、女性専用車両に対する批判や抗議の意見を言う人がほとんどいなかったのではないか?

もちろん、「非協力乗車」する人もほとんどいなかったのではないだろうか?

そして、だからこそ阪神は今回のような対応を取ってきたのではないだろうか?

他社では、反対派と現場の職員とで、激しいバトルになることもこれまで何度もあった。

あのJR西日本ですら、(100%そのためだとは断言できないものの)2014年に乗車活動していた私達を強制排除しようとして、職員が書類送検される騒ぎになり、最近では非協力乗車している私達に対して、直接の声掛けはあまりして来なくなっている。
昨年(2016年)1月に、当会と差別ネットワークのドクター差別氏とでJR西日本の本社を訪れた際も対応に出た職員2名は丁寧に対応していた。

関西だけではない。

関東のつくばエクスプレスも当会が非協力乗車(任意確認乗車)し始めた2008年頃には、警察を出動させて当会メンバーを強制排除するという暴挙に出た。(TXは警察を出動させたことを否定しているが、その場にいた警視庁の成田警部の発言から、TXが警察を呼んだのは明らかである)
しかしその後、当会をはじめ、反対派からの強い抗議活動によって、TXも今では女性専用車両は運行し続けているものの、女性専用車両に対して、「やる気のない」鉄道事業者となり、男性が乗車していてもほぼ声をかけられることはなくなった。

よく、「女性専用車両反対運動とかやっていても実際には女性専用車両が全然なくなっていない。

全然効果がないじゃないか」などという人がいるが、決してそんなことはない。

実際に廃止・縮小されたりしなくても、鉄道会社側の対応は明らかに活動によって変わってくる。

時間がかかっても、いずれは廃止・縮小に話が向かう可能性にもつながってくるだろう。

逆に言えば声を上げないと鉄道事業者にナメられるということである。

阪神については、先ほど述べた通り、女性専用車両の実施列車や時間帯がごく限られているため、今後も当会の活動対象の中心になることはないだろう。

しかし、今回の阪神の対応を見て、改めて普段から活動を行っておく重要性を再認識した次第である。

時刻は午後3時を少し回っていた。

対談を終えて、本社を後にした私達は今後も積極的に活動していこうと決意を新たにし、そこで解散した。

(終わり)

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