2018年5月 関西本部:京阪電鉄線&JR西日本線&神戸電鉄線 非協力乗車会

関西本部では今回、普段あまり乗車活動を行いにくい平日朝の京阪電鉄線と、日中の神戸電鉄線を含め、JR宝塚線・神戸線とともに非協力乗車を行いました。

今回乗車した中では、京阪の対応が一番問題でした。

以下、その報告です。


京阪・神鉄・JRで非協力乗車

狡猾に男性排除を行う京阪の車掌

朝の京阪・淀屋橋駅で

今回は、朝7:25に淀屋橋で待ち合わせ。

朝の淀屋橋駅はまだ最ラッシュ時にはまだ間があるのか、ホームに比較的人は少なく、落ち着いた感じである。

当日の京阪淀屋橋駅ホーム

私達が乗車する予定にしているのは7:40発出町柳行特急。

ホームにはその一本前の7:33発の特急が入線していた。

近くで、車内を観察していた会員によると、女性専用車内では車内で物を食べていたり、化粧をしている女性客がいたりとマナーの悪さが目立ったとのこと。

さらにそればかりか、1人の男性客が乗って座ろうとした時に女性客が声かけし、移動させたとのこと。

当サイトをいつもご覧くださっている皆様は、女性専用車両が「専用」と名乗りつつ、実際には名前だけで、「専用」ではない(実は誰でも乗れる)ことは良くご存知かと思う。

そして、公共交通機関において、男性を「男性である」というだけで強制排除するのは非常にまずいので、鉄道事業者が女性専用車両を「任意協力」にしながら、それをできるだけ乗客に知らせず、「事実上強制」していることもよくご存知かと思う。

「女性専用車両」と表示しておけば、男性客は本当に女性専用だと思って、自分から避けてくれるので、鉄道事業者としてはそれを「男性客が自主的に協力してくれただけで、強制していないから問題ない」と言えるし、またこのケースのように、勘違いした女性客が男性排除してくれることもあるので、鉄道事業者としては都合がよいのかもしれない。

しかし、専用でもないのに「女性専用」と表記すること自体、乗客にウソをついているようなものであり、問題である。

こういうとよく、「文句があるなら鉄道会社に直接言えばいいのに、なぜ女性専用車に乗りこんで乗客に抗議するのか?」などと言ってくる者がいるが、まず当会は乗客に抗議するために女性専用車両に乗り込んでいるのではない。

鉄道事業者が「女性専用車両への協力は任意」だというから、「任意といいつつ、事実上強制」させないようにしているだけで、乗り合わせた他の乗客に用はない。

当会としても、乗車活動の際、こちらから女性客に話しかけることは原則禁止している。

もちろん、その7:33発の特急から男性客を移動させた女性客に対しても、こちらからは一切何も言っていないし、全く関わっていない。

「離れた場所から見ていただけ」である。

「女性客のほうから話しかけてこない限り、こちらから話しかけるのは禁止」だからだ。

ネット上には、非協力乗車の男性が女性客と口論している動画が多数上がっているため、「男性が女性客に喧嘩を売るために乗車している」と勘違いする者もいるのかもしれないが、実際は女性客のほうから文句を言ってくるため、男性がそれに対応しているだけである。

また、当会は京阪に対しても過去、直接抗議に行っている。
2017年8月 関西本部:京阪本線 非協力乗車会と京阪・阪急・阪神本社訪問の報告②

詳細は上記リンクをご覧いただきたいが、こういった事実を知らず、「文句があるなら鉄道会社に直接言えばいいのに、反対派はなぜそんなことも分からないのか」などという人は、もう少し良くお調べになってから発言されたほうが良いと思う。

さて、しばらく待っていると、私達が乗車予定の7:40発、出町柳行特急が入線してきた。

車両は8000系である。

京阪8000系

8000系といえば元々、8両編成中1両女性専用車両を設定していた上に、昨年(2017年)からは、さらにそこへプレミアムカー(座席指定車)を組み込み、女性専用車両・プレミアムカー以外の車両の混雑がさらに激しくなるということで、昨年の本社訪問(上記リンク)の際、抗議したのだが、現在も8両編成中に女性専用車両とプレミアムカーの両方がつながっている状態のままである。

まあ、車両の編成は一度抗議に行ったからといって、そうそう変わるものではないが、乗車している男性に対する対応など、変えようと思えばすぐに変えられるようなことについても、京阪の対応は以前から全く変わっていなかった(この後、「出町柳~京阪淀屋橋(復路)」の項で後述)。

京阪淀屋橋~出町柳(往路)

到着した列車のドアが開いたので私達も、周囲の女性客と共に乗車。

淀屋橋駅は終点駅で、当然ながら全ての列車が、ここ始発である。

私達は近くの空いている座席に座った。

京阪8000系の座席は、車端部を除き、すべてクロスシート(向かい合わせで座る座席)である。

車内は座席がほぼ埋まる程度で、まだ比較的余裕があった。

過去に京阪で乗車会をした時は、淀屋橋駅で駅員などによる声掛けがあったので。

今回もあるかと思ったが、淀屋橋駅では駅員などからの声掛けはなかった。

また、停車中に清掃員と思われる男性が車内を回ってきたが、座席にいる私達には声をかけて来なかった。

やがて列車は、静かに淀屋橋駅を発車。

地下を数百メートル走ってすぐ北浜、続いて天満橋に停車し、徐々に立ち客が増えてきた。

天満橋の先で京阪線は地上に出る。

外は曇り空だったが、車窓が一気に明るくなった。

そして地上に出てすぐ京橋に到着。

ここからさらに乗客が乗ってきて、通路も人で一杯になり、車内は結構な乗車率となった。

見たところ、車内にいる男性は私達だけのようだ。

京阪特急は淀屋橋からここ京橋までは各駅に停まるが、京橋を出ると、次は枚方市までノンストップで走る。

京橋を出てすぐ女性専用車アナウンスが流れたが、「ご理解ご協力を・・・」という通り一遍のものだった。

列車は、複々線を快調に飛ばし、守口市・門真市などを通過。

結構な乗車率にも関わらず、車内はいたって静かで、列車の走行音だけが聞こえていた。

クロスシートのため、隣の車両の乗車率を見ることが出来ないが、恐らく女性専用車両よりももっと混雑していることだろう。

萱島(かやしま)駅を過ぎると、複々線から複線になるが、特急はこの先も快調に飛ばし、やがて車窓にひらかたパークの大きな観覧車を見ながら枚方遊園駅を通過。

すぐに高架に上り、次の停車駅、枚方市に到着。

枚方市ではかなりまとまった降車があり、車内は少し混雑率が下がった。

その後も、途中駅で乗り降りがあるものの、車内の乗車率はあまり大きく変わらず、結局、午前8時42分、予定通り出町柳に到着。

このように、往路の車内では特に問題はなかったが、問題は復路である。

出町柳~京阪淀屋橋(復路)

出町柳駅の改札を一旦出て、切符を買い直し、折り返し8:49発、淀屋橋行特急に乗車。

京阪では、午前9:00までに始発駅を出る特急が女性専用車両設定対象なので、これが淀屋橋行としては最後の専用車設定列車である。

出町柳駅の駅標

往路(出町柳行)は女性専用車両が先頭車に当たるため、車掌がいる車両とは最も離れた場所になるが、復路の場合、女性専用車両が最後尾になるので、車掌の目が常に女性専用車両内に届くことになる。

私達が乗車し、着席すると案の定、車掌が声掛けに来た。

もちろん、私達は移動要請を拒否。

車掌:すみません、ここ女性専用車両とさせて頂いています。ご協力をお願いします。

会員A:あなたに一体何の権限があって声かけしているのですか?法律で決まっていませんが

車掌:いえ、会社としてそうさせて頂いておりますが。

会員A:男性差別やめてください、人権侵害ですよそれ

車掌:男性差別じゃなくて…、ご協力をいただけないのであれば別にいいです。

この車掌、私達が「女性専用車両が任意協力である」ということを知っていたため、私達を排除するのは諦めたが、この後、停車駅を出るたびに自動音声の女性専用車両案内放送をしつこく流し始めた。

出町柳を出て、神宮丸太町駅を通過し、すぐに京阪三条に到着。

その後も祇園四条・七条と停車し、少しずつ乗客が増えてきたが、まだ座席は完全には埋まらず。

七条の先で地上に上がって、丹波橋に停車したあたりから座席がほぼ埋まるようになった。

先述の通り、ここまで各停車駅ごとに女性専用車案内が流され続けているが、丹波橋を出た直後、また自動音声で女性専用車両アナウンスが流れた。

「女性専用車両への協力を拒否する男性がいたら、女性専用車両アナウンスを徹底的に流す」という社内マニュアルでもあるのか。

次の中書島では、高齢の男性客が乗車してきて、空いていた席に着席した。車内の座席はほとんど埋まっていたものの、この高齢者男性は、何とか空いている席を見つけ着席したのだが、その直後、また自動音声による女性専用車両アナウンスが流された。

今度は日本語だけでなく、英語・中国語・韓国語の4か国語放送である。

「国際的にみて、日本の女性専用車両は恥ではないのか?」という意見はあちらこちらで良く見かけるが、京阪はそんなことは全く意に介していないようである。

そればかりか、先ほど私達に声掛けをしてきた車掌がわざわざ車内までやってきて、着席していた高齢者男性に声をかけ、隣の車両まで移動させた。

女性専用車両もほぼ座席が埋まっていたことから考えて、恐らく、隣の車両には空き席はもう無かっただろう。

京阪も、「女性専用車両は任意」ということを知りつつ、男性を可能な限り一人も乗せないように、対策を徹底しているようだ。

そこで、高齢者男性を隣の車両に移動させて、車掌室に戻ろうと通路を歩いて戻ってきた車掌氏に改めて抗議した。

会員A:すみません、これ(女性専用車両)って任意なのに何で男性客を移動させたのですか?

車掌:いえ、お願いしてるだけなので任意ですよ。あの男性客が聞いてくれただけの話ですよ。

会員B:(声かけする際に)任意だと言わなかったのですよね?

車掌:いえ、「お願いします」と言ってるだけですからあくまでも任意ですよ。

会員A:そんなお願いの仕方だったら、何も知らない男性客は強制だと勘違いするじゃないですか。

この車掌からは狡猾さが感じられたが、あまり長く抗議し続けて車掌の業務を妨害するわけにはいかないので、会員Aが(名札を見て)「とりあえずTさんの名前は覚えておきますね」と言うと、そのT車掌は「どうぞ」と言って車掌室に戻って行った。

車窓風景(京都府と大阪府の境界付近)

その時、車内で化粧をしていた女性客が何人かいたのだが、そちらはスルーで、高齢の男性客にのみ声をかけに行っている時点で、京阪の姿勢がうかがえる。

恐らくその車掌も上からの指示に従って動いているのだろうから。

一応言っておくと、多くの鉄道事業者は、「男性が女性専用車両に乗っても、マナー違反ではない」と回答している。

したがって、声をかけるなら、ただおとなしく乗っているだけの男性客よりも、女性客のほうだと思うが、なぜ男性客にだけ声をかけるのか?

結局、女性客の顔色には非常に配慮(今風に言えば、「忖度」)して、車内で化粧をする女性客には何も言わず、一方で(本当は女性専用ではない)女性専用車両に男性がいると、女性客から文句が出ないよう、これまた女性客に”忖度”して、高齢者であっても、男性であるというだけで声をかけて移動させるのである。

こんな調子では恐らく、高齢者だけでなく、内部障がい者や負傷者の男性なども、女性専用車両にいたら(任意協力であることは隠して)どんどん声をかけて移動させていることだろう。

京阪は男性客をどこまでも軽視しているのだ。

いや、京阪だけではない。

●海岸線で、女性専用車両を土・日・祝日も含めて毎日・終日、4両編成中一両に設定し続けている神戸市営地下鉄。

●やはり、女性専用車両を毎日・終日設定し、さらに女性専用車両をできるだけ駅の階段やエレベーターに近い位置に設定した上、「行きも帰りも女性専用車、もう私の習慣です」などと、女性専用車両を売り物のように宣伝しているJR西日本。

●女性専用車両設定が、「人にやさしい魅力ある鉄道サービス向上策」と、堂々とHPに出し、「痴漢対策ではなく、女性向けサービス」であることを公言しながら、「人にやさしいというなら、女性専用車両が男性にどうやさしいのか?」と尋ねても、まともな答えを返さない阪急。

など、関西の鉄道事業者は男性客をどこまでもバカにしているとしか思えない。

しかし、表向き「痴漢対策」と言ってさえおけば、実態が痴漢対策からかけ離れていようと何だろうと、それで世間は納得してしまう。

結局、終点の淀屋橋につくまで、女性客からの声掛けなどはなかったが、T車掌のとった行動については、やはり看過できないということで、淀屋橋到着後、駅の案内所にて抗議を行った。

京阪淀屋橋駅の案内所

本当は本社に行きたかったが、後々の予定もあるので、あまり時間を取ることが出来ず、今回は案内所で抗議を行い、T車掌の取った行動について、説明の上、抗議を行った。

さらに、「女性専用車両が痴漢対策から明らかに外れているにもかかわらず、いつまで続けるのか。公共交通機関であるのだから、そんなものをいつまでも続けないでいただきたい」というようなことを述べ、T車掌については指導するよう要請した。

もちろん、一度抗議したからといって、現状や鉄道事業者の対応などもそうそう変わるものではないだろう。

それは承知しているが、だからといって何も言わなければ、鉄道事業者は反対派の存在を認知すらしない。

淀屋橋駅での抗議を終え、次はJR宝塚線で三田まで向かうため、まずは徒歩で地下鉄堺筋線・北浜駅まで移動。

北浜駅から次の南森町駅まで堺筋線で移動して、南森町から徒歩でJR東西線の大阪天満宮駅に向かった。

JR大阪天満宮~三田

JR大阪天満宮駅ホーム

大阪天満宮駅10:20発、西明石行の普通列車が到着したので乗車。

車内は立ち客がちらほらいる程度。

次の北新地駅で多くの乗客が降り、ガラガラになった。

新福島・海老江と過ぎ、4年前(2014年)に大きなトラブル(御幣島事件)のあった御幣島に到着。

この事件以来、JR西日本も女性専用車にいる男性にあまり声をかけてこなくなったというのは、当サイトで過去何度も述べているが、改めて。

「たとえ時間はかかっても、地道な活動も決して無駄ではない」

尼崎の手前で地上に上がり、淀川を渡ると、尼崎駅に到着。

ここで、新三田行の普通列車に乗り換えた。

尼崎を出てほどなく、13年前(2005年)に発生した、尼崎脱線事故の現場を通過する。

当時からこのJR宝塚線(福知山線)にも女性専用車はあり、その時は平日の午前9時までの設定だったが、その後の2011年に痴漢対策を名目に「昼間や休日にも、平日朝ラッシュ時と同じくらい痴漢が発生している」 という滅茶苦茶な理由づけで、土日も含めて毎日・終日化された。

その際、「これからは、いつでも女性専用車」などと、駅などで多数のポスターを出して宣伝していたことからも、JR西日本は女性専用車を、痴漢対策ではなく、女性客を引き寄せるための「営業戦略」として位置付けていたことが読み取れる。

2011年、JR西日本が女性専用車を毎日・終日に拡大した際に、
駅などで貼りだしていたポスター。
女性客を取り込むための、営業戦略であることがはっきりと読み取れる。

過去に何度か紹介しているが、JR西日本が女性専用車を終日化したのと同時期(平成22年度上半期)に、警視庁が発表した時間帯別痴漢発生状況によると、関西より人が多いはずの首都圏でも、日中は痴漢犯罪の発生がほとんどないとのことである(下記グラフ)

(警視庁HP・都内における痴漢犯罪の発生状況 ~ 平成22年上半期 ~より。)
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kouhoushi/no1/koramu/koramu8.htm

首都圏の電車に乗ったことがある人なら分かるだろうが、関西と違い、首都圏では日中でも路線や列車によっては結構混雑することがある。

それでも時間帯別で見れば日中はほとんど痴漢が発生していないという結果が出ているのだ。

JR西日本の当時の発表によれば、「ラッシュ時間帯も、それ以外の時間帯もほぼ同じ割合で痴漢が発生しており、平日・休日の偏りも少なかったので終日化した」とのことだが、全く信用ならない。

営業戦略としての女性専用車を、年中無休の終日設定にしたいために、当時のJR西日本が性急になっていたであろうことがうかがえる。

伊丹で何人かの乗客が降り、もともと空いていた車内はさらに空いてきた。

JR西日本の昼間の普通列車の乗車率は、大体この程度

上の写真は乗車会当日のものではないが、私達が乗った列車も乗車率はこの程度であった。

こんな状態で、「朝ラッシュ時と同じくらい痴漢が発生する」とは随分なこじつけである。

川西池田駅で快速の先発待ちのため、4分ほど停車。

この時点で、車内は私達以外には、乗客が4人だけという状態になっていた。

しばらくして快速列車が到着。

快速から乗り換えてきた乗客の中に、男性客が1人いて、そのまま乗車した。

快速が発車した後、私達の乗った普通列車も発車。

車内は若干乗客が増えたが、それでも私達以外に10数人程度。

しばらく走ると、目の前に阪急宝塚線の車庫(平井車庫)が見えた。

このあたりはJRと阪急宝塚線が並行して走っており、JR宝塚線も阪急の車庫のすぐ脇を通る。

車庫内に女性専用車両のステッカーを貼った阪急車両が留置されているのが見えた。

阪急宝塚線のほうは、女性専用車両は朝だけだが、阪急も女性専用車両を運行するために、車両の運用など、他にいろいろとしわ寄せをしてまで宝塚線・神戸線に女性専用車両を導入した。

阪急とJR西日本は、並行路線が多く、互いに競合関係にあるが、ある意味、女性専用車両でもこの両社は競争しあっているのかもしれない。

さて、車窓に高層マンションがちらほら目に入るようになると、間もなく沿線の主要駅の一つ、宝塚に到着である。

他の多くの駅でもそうだが、ここ宝塚でも、後から新しく設置された上りエスカレーターが、まともに女性専用車のド真ん前にくる。JR西日本はわざとやっているとしか思えない。

(実際、JR西日本は過去に大和路線と阪和線に女性専用車を導入した際、「天王寺駅での乗り換えに便利なよう、女性専用車を●号車に設定しました」という宣伝をしていたことがある)

JR西日本では、男性の障がい者や高齢者よりも、健常者の女性のほうが優先順位は上のようである。

さて、宝塚の市街地を過ぎ、次の生瀬駅を出ると、辺りは急に山深くなり、JR宝塚線はトンネルの連続となる。

宝塚を過ぎると、急に山深くなる。

西宮名塩・武田尾・道場と過ぎて、辺りが山岳地帯から急に田園地帯に変わると、しばらくして左から神戸電鉄の線路が近づいてきて三田市の市街地に入り、三田駅に11:21到着。

私達はここで下車して、三田駅近くの飲食店で昼食を取り、続いて神戸電鉄線の女性専用車に乗車することにした。

神戸電鉄三田・有馬線・三田~新開地

三田で昼食を済ませた私達は、神戸電鉄の三田駅から12:08発、普通新開地行の女性専用車に乗車。

神戸電鉄はここ三田が終点であり、当然のことながらすべての列車がここで新開地方面に折り返す。

神鉄三田駅に停車中の新開地行普通列車

私達が乗車した列車も、発車までまだ10分ほどあった。車内は空いている。

発車時刻が近づくにつれ、徐々に乗客が増えてきたが、立ち客が出るほどにはならなかった。

男性客の姿も数名ほど見える。

発車間際にもう一人男性客が乗車してきたが、この男性客、すでに乗車していた男性客一人を連れて、一緒に隣の車両へ移動してしまった。知り合いだろうか?

当会メンバーどうしで、「何も移動することないのに・・・」と言いつつ、その男性客を見送ると、列車のドアが閉まり、発車した。

列車はしばらく、田園風景の中に住宅などがちらほら見える中を、すいすいと走っていく。

神戸電鉄といえば、この先、神戸市内で非常に急な勾配が続くことで知られているが、まだこの辺りでは線路は比較的平坦であり、列車の速度も比較的速い。

2駅先の横山駅で公園都市線が分岐し、ここから単線となる。

田尾寺~岡場の間は一駅だけ再び複線になるが、それ以外は、横山から有馬口まで単線である。

岡場の駅前は比較的ひらけている。

神戸のベットタウンといったところか。

駅も、このあたりの駅の中では、結構立派な造りである。

だが、岡場を出て次の五社駅に到着する直前あたりから、急に山の中に入る。

そして五社駅からさらに山に分け入っていくと、沿線の主要駅の一つである有馬口駅に到着する。

ここは、有馬温泉への支線(正確には、有馬口~有馬温泉間も有馬線)が分岐する駅のため、そちらに向かう乗客が乗りかえることの多い駅である。

私達は三田から新開地方面に向かっているわけだが、有馬口駅では有馬温泉からの帰りの乗客と思われる人々が、ややまとまった人数乗車してきた。

ここで車内は座席がほぼ埋まった。

有馬口からは終点の新開地まで複線だが、このあたりから、線路は激しくアップダウンを繰り返すようになる。

神戸市の内陸部は、かなり深い山岳地帯だからだ。

唐櫃台・神鉄六甲・大池・花山と過ぎ、神戸市営地下鉄(北神急行)との連絡駅である谷上に到着。

このまま神戸電鉄に乗り続けても、神戸の中心部には行けるが、ここで神戸市営地下鉄に乗りかえれば、神戸電鉄で新開地方面に向かうよりもはるかに早く、神戸の中心部、三ノ宮に到着することが出来る。

そのためか、ここで多数の乗客が降り、車内は再び空いた状態となった。

2003年の年末に突然、わずか4両編成で女性専用車両を平日・終日導入した神戸電鉄も、当時のマスコミ報道によれば、導入前は「うちは編成が短いから・・・」と、導入については様子見の姿勢を見せていた。

しかし、神戸市営地下鉄が短編成で女性専用車両を終日導入したのを見て、神戸電鉄も後を追うようにさっさと終日導入した。

痴漢被害者のために・・・などという理由ではなく、明らかに「横並び意識」からの導入である。

導入直後、沿線からのブーイングが殺到したため、翌2004年6月から「早朝の時間帯は女性の利用率が低いことが分かった」などと理由づけをして、朝のわずかな時間帯のみ女性専用車両を解除し、それ以外の時間帯は終電まで全時間帯で実施という、これまたおかしな形となった。

「ブーイングを鎮めるために、ほんのわずかに譲歩した」というのが見え見えである。

そして、それから十数年たった今でも、その状態のまま女性専用車両は(恐らく惰性で)だらだらと続けられている。

もちろん痴漢対策などでは「全くない」。

列車は沿線の主要駅である、鈴蘭台を発車。

ここから、急勾配で山を下りつつ、海沿いに広がる神戸の市街地に向けて下っていき、最後は地下に潜って、終点の新開地に13:08到着。

JR神戸線に乗車するため、ここから阪神電鉄に乗り換え、三ノ宮に向かった。

JR三ノ宮~大阪

三ノ宮からは13:28発、高槻行き普通で大阪方面に向かった。

大阪に到着するまで、駅員・警備員や車内の乗客などから声掛けはなく、無事ではあったが、私達の乗った列車のドア窓には、女性専用車限定広告が貼り出されていた。

女性専用車内のドア窓部には、女性専用車限定広告が貼り出されていた。

女性専用車に女性専用エステサロンの広告・・・ 改めてこの車両がJR西日本の営業戦略であることが良く分かる。

ちなみにこのJR西日本の女性専用車限定広告、1枚当たりの広告料金は非女性専用車両の広告の約4倍にもなる(詳細は2016年8月の活動報告に記載しているので、時間があれば目を通していただきたい)。

それでも「基本的に女性しかいない場所に女性向け広告を出すと、広告効果が高い」ということで、広告主がつくのだろう。

もちろん、女性専用車両の問題は、「公共の場における、本人の意思や努力では如何ともしがたい、属性を理由とした排除・差別」がその本質であり、仮にJR西日本や他の鉄道事業者が、女性専用車を商業利用しなくなったからといって、「それで良し」というわけではないが、「女性専用車両が差別である」という意見が、世間でなかなか受け入れられない理由の一つに、「鉄道事業者が痴漢被害者のためを思って女性専用車両を運行している」と、世間が思いこんでいることが挙げられる。

そしてさらにそこから、「鉄道会社が痴漢被害者のことを思って、わざわざこんな車両を作って、一生懸命取り組んでいるのに、それを差別などという男は自分のことしか考えられない情けない奴」だとか、「痴漢被害者を救済するため、やむを得ず導入した女性専用車両を、差別だとか言ってアパルトヘイトと一緒にする連中の気が知れない」などといった、「無知に基づく思い込み」が誘発されている。

しかしながら、鉄道事業者が、「痴漢被害者のために女性専用車両を運行しているのではない」というのはこのページだけでなく、当会がこれまで繰り返し強調してきた通り。

しかし、世間の人々(特に賛成派)の多くは、「痴漢対策」という、「うわべの綺麗事」に見事に騙されているのだ。

世間が女性専用車両を「痴漢対策」と思いこんでいる限り、鉄道事業者は、女性客を引き寄せるための、そして女性向け広告で金儲けをするための女性専用車両を、いくらでも正当化できる。

女性専用車両が、「痴漢被害者を救済するためのもの」ではなく、「それを建前にしているだけのまやかし」であるという認識で、「女性専用車両は差別である」という反対派の主張を改めて読み返してみれば、「差別だとして、女性専用車両に反対することが、決しておかしなことではない」と認識できるはずである。

何せ、【営利目的】で同じ運賃を支払っている男性客を、男性であるというだけで事実上排除しているのだから。

これは公共交通機関として、とんでもないことである。

もちろん、本当に痴漢対策であったとしても、やり方に大いに問題ありだが・・・

ついでに言うと、「女性専用車両では痴漢が減っていない」ことや女性専用車両を利用している女性客の大半が「痴漢対策以外の理由で利用している」ことも、これまた繰り返し述べてきた通り。

しかし、多くのマスコミはそうした側面をなかなか報道しない。

だから今でも、私達のような女性専用車両反対派が、「痴漢対策に反対している」とか、「女性に恨みを持っている」などと誤解している人は少なくないのではないだろうか?

当会サイトをご覧の皆様には、このような認識は「誤認識」であるということを、どうかしっかりと認識していただけたらと思う。

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